トレッキング初心者のための入門講座では、トレッキングに関しての基礎知識をわかりやすく丁寧に説明しています。まずは基本を理解して上達のコツやヒントをつかんで中級者、そして上級者を目指してください!
登山といえば、重たいザックを背負い、汗を流しながら山頂をひたすら目指すような暑苦しいイメージがあるかもしれません。しかし、現在もなお登山ブームが続く背景には、これらのイメージを覆すような魅力があります。さらにほとんどのアウトドアギアが軽量化され、オシャレなウエアも普及し、今では老若男女問わず多くの人が山を登っています。
これから登山を始めようか迷っている人へ、のめりこむ人が後を立たない登山の魅力をお伝えします。
【なぜみんな登山にハマるの?】
リラックス効果や気分転換、ストレス解消への期待がその理由に挙げられるのではないでしょうか。例えば最近では、人間のストレスを和らげる効果があるとして、森林浴が注目されています。森のさわやかな香りは木々が放出するフィトンチッドという物質によってできており、肺にめいっぱい吸い込むことでリラックス効果を得られるという説も。また、登山は歩くスピードによっては有酸素運動にもなるため、ダイエットや健康維持のために始めた人がその後も続けている、ということも多いようです。何より、普段の生活では出会えない素晴らしい景色に出会えることが大きな魅力であるといえるでしょう。
【登山に最低限必要な道具】
必要な持ち物は、行く山や目的によってさまざまですが、ここでは“初心者が高尾山などの低山に行くとき、まず用意すべきもの”を想定してご紹介します。
トレッキングシューズ
足首を覆う丈のもので、ソールが頑丈なもの
ザック
登山用のリュックサック。ウエストや腰にベルトがあるもの
レインウエア上下
ポンチョタイプではなく、セパレートのものが好ましい
ベースレイヤー
汗を吸収し、乾きやすい素材の肌着
ミドルレイヤー
フリースなど身体を温める中間着
アウター
雨や風から身体を守る外着
ボトムス
ストレッチ素材や、膝部分がサポートされているものなどが便利
日よけ帽子
水分や行動食
地図、コンパス
※ウエア類は気候・天候に合わせて選びましょう。
【初心者デビューにおすすめの山3つ】
初めての登山は楽しい思い出にしたいもの。一番避けたいのは、登る山が本人の体力に見合わず疲れ切ってしまうこと。そこで、ロープウエイやケーブルカーでのアクセスが可能で、かつ眺望が良い、3つの山をご紹介します。
都内から約1時間! 定番の「高尾山」(東京・八王子市)
いわずと知れた高尾山は、実は7つもの登山コースがあり、コースごとに野鳥が見られたり滝があったりと、バリエーション豊かなのも人気の理由。天気がよければ山頂からは富士山も見え、駅や山の周辺にはおいしいおそばやさんがたくさん♪
古くから愛され続けてきた「大山」(神奈川県伊勢原市)
江戸時代から山岳信仰の対象とされ、今なお愛され続ける歴史の深い山。国や県の重要文化財が所蔵される大山寺や大山阿夫利神社などみどころも豊富で、ちょっとした観光気分にも。秋は紅葉がライトアップされてとてもロマンチックです。
お花畑広がる天空散歩! 「入笠山」(長野県・富士見町)
「花の百名山」とも呼ばれ、数々の花々や高山植物を四季を通じて楽しめます。山頂からは富士山や北・中央・南アルプスなどが一望でき、1,955mもの標高がありながら、ゴンドラを利用すれば約1時間で山頂にたどり着けるお手軽さも人気の理由です!
【登山の歴史】
登山の歴史は古く、遡れば世界中の宗教のなかに人と山の歴史を見ることができます。富士山が「霊峰」と呼ばれていることからも、日本の登山の歴史が信仰と一体であったことが伺えるでしょう。登山の歴史は、時代ごとに人が山を登った目的とセットで語られるもの。時には軍事、地図測量、スポーツ色の強い近代登山(アルピニズム)など目的や意味合いはさまざまです。では、現在の登山文化に続く、レジャーとしての登山がはじまったのはいつごろでしょうか?
実は18世紀ごろ、すでに民衆の間で「富士講」と呼ばれる富士登山が大流行しています。彼らの目的は表向きは信仰であるものの、そのほとんどが物見遊山だったそうです。私たちにとってのレジャー登山にかなり近いものがありそうですね。
その後、戦前戦後の近代登山の歴史を経て、1950年代以降日本人が初めてヒマラヤ山脈の8000m峰・マナスルを登頂したのを機に、名峰に憧れ、週末登山に勤しむサラリーマンが目立つように。レジャー登山人気はその後もゆるやかに続き、1990年代には深田久弥著「日本百名山」の大ヒットにより、中高年の登山者が急増します。
そして2009年頃から、オシャレで軽量なアウトドアウエア・ギアをまとった「山ガール」が高尾山に溢れ、昨今の登山ブームに火がつきます。さらに、富士山が世界遺産登録され、富士登山人気が高まったことも見逃せません。きっと、江戸時代の人々が富士山に憧れた気持ちは、私たちのそれと同じようなものなのでしょうね!